本当に家を建てるといろいろな専門用語に出くわします。前回「窓のサッシ」について書きましたが、今回はそこにも登場する「框」と「桟」について詳しく見ていきたいと思います。
框と桟について
「框(かまち)」の一番わかりやすい例は玄関框ですね。↑この部分です。辞書にはこのように書かれています。
かまち【×框】
weblio辞典
1 窓や障子などの周囲の細長い枠。
2 床などの板の端部を隠すための化粧横木。上がり框・床框(とこがまち)・縁框(えんがまち)など。
これに似た用語に「桟(さん)」があります。辞書には次のように書かれています。
さん【桟】
weblio辞典
1 戸・障子などの骨組み。
2 板が反るのを防ぐために、打ちつけたり差し込んだりする横木。
3 土台や梯子(はしご)などに渡す横木。
つまり、框は「縁(ふち)」や「枠」という意味で、桟は「横木」や「補強材」という意味で説明されています。これから「框で枠を構成し桟で框の間を補強する」という関係であることが分かります。こちらをイメージで確認してみたいと思います。
框と桟の構成パターン①
「框で枠を構成し桟で框の間を補強する」という関係からいくと、このように框で四方の枠を構成し、その間の骨組みが桟ということになります。ただ、これで話が終わればよかったのですが、ある時「上桟、上框」なる専門用語が登場しました。それが次の図です。
框と桟の構成パターン②
「框」には上框、縦框、下框があり、同じく「桟」にも上桟、縦桟、下桟、さらに横桟(中桟と呼ばれることもある)があることが分かりました。
面白いことに上框と上桟、下桟と下框は同じ場所を指しています。これはつまり「桟」は「框」より広い意味を持つということになります。框と桟は違う次元で定義されたということでしょうか。いずれにしても2パターンの使い方があるようです。これなら、いろんな説明で統一がされていないのもつじつまが合います。
「窓の桟を掃除する」の「桟」は「窓枠」を指している
窓の掃除をする時に、下のレール部分のことを「窓のサン」と呼ぶことがありますよね。「窓の”サン”」と言われると、なんとなく窓のレール部分をイメージしませんか?
いろいろ調べていると、↑お掃除グッズに「窓の桟」と書かれているものがありました。つまり「窓のサン」は「窓枠の桟」だったということですね。
もし、前述のパターン①の説明だけだと「枠=框」になりますので、「窓の桟」は「窓の框」と呼ぶのが正しいとなってしまいます。しかし、パターン②の説明ならつじつまが合います。
「枠=框」になるのは、骨組みや障子などを伴った「構造体の一部」に用いるのが適しているのでしょう。「窓の框を掃除する」だとピンときませんしね。建築の専門用語はしっかりと向き合う奥が深いです。
窓本体(障子)の枠は框
- ①額縁(ケーシング)
- ②枠(窓枠、レール部分)
- ③ガラス
- ④框
- ⑤部品(鍵部材等)
前回の窓のサッシでも出てきましたが、窓の④の部分は框と呼ばれています。これもガラスがはめこまれてしっかりした構造体なので「桟」ではなく「框」が適しているということで合致がいきます。
まとめ
家づくりをしていると、こういった日本家屋の伝統が今でも残っていることを感じることがあります。おもしろいですね、令和の時代にも受け継ぐ日本古来の技術。他にも読みにくい感じを集めたので良かったらそちらもご覧ください↓
参考になれば幸いです。それではまた。
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